実習先農家
実習先農家一覧
実習先農家インタビュー1
紀のファーム株式会社 林 真司さん(30代)
親元就農してすぐに経営承継。
一番の研修は自分でやってみること
紹介
栽培面積:30a(土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:27歳
親元就農後すぐに独立
イチゴ生産を始めたのはいつですか?
農業を始める前はフィリピンに住んでいたのですが、27歳の時、妻の妊娠をきっかけに日本への帰国を決意しました。親がもともと農業をやっていて「いつかは農業をするだろう」と思っていたので、帰国後すぐに就農することにしました。
親がイチゴを生産していたこと、イチゴは収益性が高く、刃物を使わずに食べられるという理由から、生産品目をイチゴに決めました。
就農してすぐに経営継承されたのですね。不安はなかったですか?
どうせやるなら独立したい、という気持ちが強かったので不安はなかったですね。雇われるよりも仕組みを作る側になりたいと常々思っていたので、私には農業で独立がぴったりでした。
栽培技術はどうやって身につけたのですか?
自分自身で手探りで学びました。本やYouTubeから学んで、失敗したらまた違うやり方を試す、ということを繰り返しています。父親もイチゴ栽培をしていましたが、一番の研修は自分でやってみることだと思います。もちろん、人に聞いて情報収集することもあって、いいと思ったことは積極的に取り入れています。
ハウスの建設には補助金などを活用されましたか?
そうですね。イチゴのハウスについては県の補助事業と紀の川市の事業と2つ使わせてもらいました。面積当たりの補助上限額は決まっていますが、県のほうが経費の3分の1、市のほうが6分の1補助してもらえるので助かりました。
10a当たり4〜5t生産。目標は売上1億円
現在の生産規模と収量はどのくらいですか?
イチゴは土耕栽培で30aほど生産しています。他にブルーベリーやイチジクも生産しています。収量は10a当たり5t程度ですね。私はJAさんには出荷していなくて、関西の高級スーパーやカフェに直接販売しています。
売り上げの目標はありますか?
現時点では、売上1億円を目標にしています。そのために、経営におけるコスト削減と同質・定量を生み出せるよう生産管理を意識しています。それと、毎年必ず違うことをやっています。同じことはせずに規模拡大できているので、絶対にこの目標には到達できると思います。
イチゴ生産で難しいことは何ですか?
当たり前のことを当たり前にこなすことが一番難しいですね。
収穫終わり頃の4〜5月になってくると、温かくなってきてイチゴの劣化も早くなるので、みんな辞めたくなるんですよね。いかに新鮮なうちに販売できるか、販売先とどう調整するかを考えて動けば大丈夫なんですが、その当たり前のことが一番難しいです。
農業は生活と密接にかかわる産業。地域との関わりも大事
農業を行う上で難しいことは何ですか?
農業は他の産業と比較して、地域と密接にかかわってくる仕事です。特に農業に使う「水」などは、みんなで分け合うものなので、地域の方との関係性を大切にしなければなりません。その部分を考えるのは難しいことだと思います。
林さんにとって農業の魅力はなんですか?
会社員時代は、どれだけ頑張っても自分に返ってくることはなかったのですが、農業経営の場合はやったらやった分だけ返ってくることを魅力に感じています。
どういう人に来てほしいですか?
経営感覚がある人が来てくれると嬉しいですね。紀の川市のイチゴを生産する人が増えれば、ブランド力が上がるので。
本気で農業をやりたいと思っている人であれば、是非色々と一緒に挑戦しながら教えてあげたいですね。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー2
イチゴ生産農家 児玉 瑞枝さん(50代)
イチゴ生産は、子育てしながら続けられる。
紹介
栽培面積:6.5a(高設・土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:40歳
父に助けられながら農業を始めた
農業を始めたのはいつですか?
12年前くらいから農業をはじめました。結婚後、子育てに専念していたのですが、子どもが少し大きくなったタイミングで、始めはパートとして、近隣のトマト農家さんのところで働いていました。
父が50年くらい農家をしていたので、その後、他の農家さんではなく実家を手伝うようになりました。
実家の手伝いからご自身でされるようになったきっかけは何ですか?
父から「設備をあげるから別でやろう」と言われたことがきっかけです。お互いにサポートしあっていましたが、2年前に父が農家を辞めたので、自分が中心となってイチゴ生産をするようになりました。今は父が師匠兼、お手伝いをしてくれています(笑)
農地も設備も全て父から受け継いだため、初期費用が掛からなかったのはすごく有難かったです。
栽培技術はどうやって身につけたのですか?
基本的には全て父から学びました。父は、新しいことを試すのが好きなので、自分が試してよかったこと、悪かったことを色々と教えてくれて助かりました。
今回の研修でも、私だけではなく父も一緒に研修生のサポートをする予定です。父は紀の川市のイチゴ農業を若い人に受け継いでほしいと思っているので、「生活できるようになるまで面倒みてやる!」と意気込んでいます(笑)
イチゴ農家は子育てしながらでも続けられる
児玉さんにとって、イチゴ農家の最大の魅力は何ですか?
一番は、子育てしながら続けられることですね。子どもを3人育てながらでも続けることができました。もちろん、父のサポートもあったので続けられた部分も大きいですが、イチゴ生産は夏の間はあまり忙しくないので、子どもの夏休みに合わせられるんですよね。外で働くとなると、なかなかできないことです。
また、単価が高いのも魅力です。10aあれば売上500万円くらいは目指せるので、夏休みがあるうえにしっかりと稼げるのはかなり魅力的だと思います。
では、イチゴ生産をやっていて難しいと感じることは何ですか?
苗づくりですね。苗さえきちんと作ることができれば、後はあまり難しいことはありません。8月は気温が高くなるので、「苗がしおれませんように」と毎日祈りながら水やりをしています。苗づくりに関しては、毎年試行錯誤していますね。
販売に対しては、さほど難しいと感じることはないですか?
そうですね、私は全量JA出荷なので販売に対するハードルは高くないです。自身で営業をしなくてよいので、すごく助かっています。一部、電話で直接問い合わせてくれるお客様もいるので個別に販売もしていますが、販売先に困らないのは産地ならではの魅力だと思いますね。
農業をしながら生活していくには、紀の川市はオススメ
お休みの日は何をして過ごしていますか?
登山が好きなので、近くの山にハイキングに出かけることが多いです。特に、山に生えている花を見るのが好きで、季節ごとに「今日はこの花を見に行こう」といって登山をしたりします。サイクリングやパラグライダーをしている人もたくさん見かけます。アウトドアが好きな人にはおすすめの町ですね。
子育てするうえで、紀の川市はどのような町でしょうか?
生活もそうですが、子育てもしやすい町だと思います。スーパーやドラッグストア、病院もたくさんあるので生活で困ることはないです。大阪にも近いので週末遊びに行くこともできますし、紀の川市に住んでいて不便に思ったことは特にないですね。
紀の川市で就農検討している方に、ひとことお願いします!
農業するには本当にオススメです。水がきれいでおいしいので、おいしい作物ができますし、聞けばみんな何でも教えてくれます。特にイチゴは売り上げがたちやすいので、農業未経験者の方にもピッタリだと思いますよ。私はJA出荷ですが、直売所や市場に出されている農家さんもいるので、自分に合った販売方法も探せると思います。
農業しながら生活したい、自然が好きだけど都会にも近いほうがいいという方はぜひ一度紀の川市に来てみてください。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー3
(株)ふるーつふぁーむわかやま 田中 啓友さん(40代)
自分自身の意志に従えば、自然と不安はなくなる。
紹介
栽培面積:30a(高設)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:30歳
きっかけは祖父。子どもの好きなイチゴを作ろうと思った
きっかけは祖父。子どもの好きなイチゴを作ろうと思った
ずっと農業をやっていた祖父に頼まれたことがきっかけですね。農業を始める前は営業や飲食関係などでサラリーマンをやっていたのですが、「自分の思うようにしたい」という想いも強かったので、農業で独立しようと思いました。就農と同時に独立という形になりましたが、自分で考えて動くことが好きなので、自然と不安はなかったです。
生産品目をイチゴに決めた理由は何ですか?
もともと祖父から受け継いで紀の川市の特産品の桃、梨やみかんを作っていたんです。桃は今も作っているのですが、9年前に「自分の子どもが好きな作物を作りたい」と思って、イチゴを作り始めました。
やっぱり身近な人においしいと言われるのは嬉しいですし、子どもはみんなイチゴ好きなので「おいしい」と反応が返ってくることがモチベーションにつながります。
イチゴ生産を始める時に補助金などは活用されましたか?
いえ、最初はハウスがあったので活用しませんでした。ただ、台風の影響で2019年にハウスを建て直した際には農協さんから1.3億円ほど借りました。私は祖父から受け継いだ農地や設備があったので活用しませんでしたが、新規で始める方は色々と補助金等を活用するのがいいと思います。
イチゴの栽培技術は周囲の農家さんに教わったのですか?
私は県の試験場の方やJAさんに基本的なことを教えてもらいました。その後は、本を読んで自分でいろいろ試してみたり、ネットやSNSを活用して気になる農家さんに連絡して訪問したりして、外部にも積極的に学びに行っています。
紀の川市は新しいことに挑戦する環境がある
田中さんにとって紀の川市で農業をする魅力は何ですか?
若い子同士のつながりがあることと、新しいことに挑戦できることですかね。何か聞こうと思えば、すぐに聞ける環境があります。ただし、お互いがお互いのことを気にかけすぎていないので、新しいことに挑戦しやすいです。
イチゴに関していえば、イチゴ部会に入っていて高単価のまりひめを生産できることも魅力ですね。販売も、私は市場出荷ですがJA出荷や直売所への販売など選べるのも魅力だと思います。
では、イチゴ生産をやっていて大変だと感じることは何ですか?
苗づくりとコロナですね。私は観光農園も経営しているので。苗づくりはイチゴ生産をするうえで最も難しいことだと思います。去年も苗づくりに少し失敗してしまいましたが、他の農家さんと助け合って、なんとかやっています。
コロナに関しては、観光農園には大打撃でした。やはり感染対策をしながらとなると、受け入れられる人数も減ってしまいますし、そもそも来客数も減ってしまうので。何があるかわからないことを痛感しました。
なぜ観光農園をはじめられたのでしょうか?観光農園に関して、目標があればそれも教えてください。
関西ウォーカーさんに声をかけていただいたのがきっかけとなりました。やってみるとお客さんもたくさん来てくれて、直接「おいしい」と言われるのが嬉しくて本格的に観光農園を始めることにしました。
目標は、2025年までに観光農園にカフェを併設したいと考えています。観光農園を待っている間に利用してもらったり、自身の生産物を知るきっかけになればいいなと思います。観光農園は最終的に会員制にできないかな、とも考えています。
自分自身が楽しみ、本気になることが一番大事
田中さんの農業へのこだわりを教えてください。
自分が楽しみ、本気で取り組むこと。そうすれば、自然とおいしいものを作ろうと思えますし、おいしいものを作ればお客さんに喜んでもらえる。毎日しんどいのは当たり前ですが、その中でできるだけ楽しまないと損だと思っています。
研修生にはどのようなことを教えたいですか?
基本的に自分にできることは何でもやってあげたいと思っています。ハウスも一緒に探してあげたいし、独立して最初の数年は自分のイチゴと一緒に出荷してあげてもいい。ただ、厳しく言うこともあると思います。それは、本気で取り組んでほしいからです。本気でやる人って周りが助けてあげたくなりますよね。本気でイチゴ生産に取り組みたい方には、1から10までサポートしてあげたいです。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー4
家族経営 岩鶴 和昭さん(40代)
農業は簡単ではない。ただ頑張ればその分返ってくる。
紹介
栽培面積:20a(高設)10a(土耕)
出身地:和歌山市
就農時の年齢:20歳
おいしいものを作りたいから、いろいろ試す
農家になろうと思ったきっかけは何ですか?
結婚ですね。奥さんの実家が農家で高校を卒業してから働いていた仕事を辞めて、20歳の時から農業をはじめました。農業未経験だったので、はじめは「すべてが難しい」と感じました。ただ、コツコツと継続して一つのものを極めるのが好きなので、農業は自分に合っていました。
イチゴ生産を始めたきっかけは何ですか?
自分自身がイチゴが好きで、おいしいものを作りたいと思ったからです。奥さんの実家はお米やイチジクなどを作ってます。
イチゴの栽培技術はどのように身につけられたのですか?
義父は農家でしたが、イチゴの生産はしていなかったので近所のイチゴ農家さんに教えてもらいました。すべてが難しく、毎年1年生の気持ちでした。肥料を変えてみたり環境制御をしたり、常に色んなことを試しています。新しいことを試すのは怖いですが、試さないとより良い選択ができないので、良いことはどんどんやっていきたいと考えています。全部自分でしようと気張りすぎず、うまく人に頼ることで事業がうまくいくと信じています。
観光農園も始め、規模を拡大していきたい
現在の反収と売上を教えてください。
現在、10a当たり6tくらい収穫できており、売り上げは600万円くらいですかね。紀の川市の平均収量よりは少し多くとれていると思いますが、イチゴの最大産地の栃木ではもっととれているので、まだまだ収量増を目指します。
岩鶴さんはどのように販売されているのですか?
最初から市場出荷です。JA出荷と違って自分で営業しないといけないので難しい部分はありますが、「紀の川市のいちご」としてではなく「岩鶴和昭のいちご」として販売したかったので、今後も自分で営業して販売していきます。近くのカフェに販売することもあります。
また、来年からは観光農園も始めようと思っています。やはり、お客さんからのダイレクトな反応を感じたいと思い、観光農園も始めることにしました。
では、今後も規模を拡大していく予定ですか?目標を教えてください。
そうですね、観光農園も大規模化していきたいと考えています。収入を上げることももちろんですが、より多くの方に自分がつくったイチゴを届けるために規模の拡大を考えています。売上1億円は目指したいですね。
最終的にはイチゴの価値を高めないと、収入は増えないので自社でのEC販売も始める予定です。
イチゴ生産は難しいが、安定している
紀の川市は農業を始めるのに良い町だと思いますか?
はい、農業しやすい町だと思います。人気の直売所「めっけもん広場」も有りますし、農業が盛んな町なので困ることはあまりないと思います。私自身、農業未経験からの就農だったので難しいこともたくさんありましたが、周りのサポートもあってこれまで続けてこれました。
大阪も近いですし、生活していくのにも困りませんよ。市民祭りなどのイベントはありますが、都会の方が想像されているようなものではなく、町のイベントという感じです。
就農を検討している方に、アドバイスをお願いします!
一つのものを突き詰めるのが好きな人に、イチゴ生産は向いていると思います。頑張れば頑張った分だけ結果が出るし、イチゴ生産はやるべきことをやれば売り上げもきちんと上がる安定した品目だと思います。
自分に教えられることは教えようと思っているので、真面目な人・農業に真剣に取り組みたい人に来てほしいです。生産をできるだけ自動化できるように、色々とシステムを導入しているので、環境制御や自動化のシステムを学びたい人にはいいと思います。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー5
JA紀の里 下田和 敬二さん(50代)
JAの経験と知見を活かして全力でサポートしたい。
紹介
出身地:紀の川市
農業を志す方のサポートをしたい
JA紀の里では、新規就農を希望されている方には普段どういったサポートをされているのですか?
イチゴにかかわらず、新規就農を希望される方には経営計画や就農に関する想いをしっかりと確認したうえで、農地の貸し借りのサポートなどを行っています。また、どういった作物を作るのが良いかといった相談や、経営計画づくりや資金繰りのサポートも行っています。
そして、より専門的に農業を学んだうえで定着していただきたという想いから、品目特化の研修を受け入れるようになりました。
品目特化の研修では、どのようなサポートを得られるのでしょうか?
研修修了後に独立できるよう、事業計画、農地探しや横のつながりづくりなど、全面的にサポートします。地域の特産品を作る担い手を育てていくために、トレーニングファームを設けて、実際にイチゴを生産するという研修を受けていただきます。
基本的には農場を管理しているJAの職員や営農指導員が指導します。研修中に地域の農家さんとの繋がりもできるので、独立後に助け合いができるような関係性を築くことができます。やはり、こういった関係性をいかにつくるかが、農業では大切だと考えています。
基本的に研修修了後は独立していただくので、事業計画づくりや農地探しなど、独立に向けたサポートも研修中にしっかり行います。もしも、農地が見つからなかった場合はJAのトレーニングファームで2年間働くことも可能です。
紀の川市のイチゴ生産を盛り上げたい。
紀の川市のイチゴ農家の特徴を教えていただけますか?
和歌山県全体のうち、約4割がこの紀の川市で生産しています。農家軒数は約100軒くらいです。家族経営で小さくやられている方から、40〜50aくらいで大規模にイチゴの生産をされている方までさまざまです。
昔はもっとイチゴ農家さんも多かったのですが、やはり高齢化とともに年々面積も農家戸数も減ってきているのが現状です。イチゴは収益性が高く消費者ニーズも高い品目なので、もう一度紀の川市で盛り上げていこうという想いから、研修に力を入れていきたいと思っています。
収量と売上はどのくらいを目指せばよいのでしょうか?
規模によって収量の差はありますし、気候の影響があるので年によっても差が出ていますが、10a当たり3tを指標としています。最低3t/10aは必要だと思います。もちろん、もっと上を目指してほしいですし、実際に大規模に生産されている方は4〜5tくらいとられていますね。
3t収穫できたとして、1500円/㎏で販売すると450万円程度の売上になります。まずはこの最低ラインを目指してもらえればと思います。新規就農で独立される方でも十分目指していただける指標です。
紀の川市でイチゴを生産した際の販売先はどこがありますか?
まず、JAに出荷することをオススメします。JA出荷のいいところはJA出荷の農家さんと話す機会が多いところだと思います。出荷するときに顔を合わせるので、自然と会話が生まれて情報交換ができます。あとは、JAが運営している「めっけもん広場」もおすすめです。県内外から毎日たくさんのお客さんがいらっしゃいますね。
あとは、個人で市場や小売店と取引されている方もいます。大阪という消費地に近いのは、紀の川市の強みですね。
紀の川市は「便利な田舎」県外からの応募も大歓迎
紀の川市に住んでいらっしゃる下田和さんから見て、紀の川市はどんなところですか?
一言で言うと、「便利な田舎」ですね。田舎だけど都会も近いし、生活に必要なものは全てそろっています。中学生まで医療費が無料なので、行政のサポートも県内では手厚い方だと思います。
就農を検討している方に、ひとことお願いします!
農業は自然相手の仕事なので、いいことばかりではないです。毎年同じようにすればできるものでもないので、少し覚悟がいるかと思います。ただ、それを理解したうえでやはり農業をやりたいと思っていただければ、全力でサポートさせていただきます。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー5
個人農家 児玉 勝彦さん(70代)
若者は宝。全面的に協力して、紀の川市のイチゴを継承する。
紹介
栽培面積:11a(土耕)
出身地:紀の川市
就農時の年齢:18歳
農業を始めて60年。農業に定年はない。
農業を始めたのはいつですか?
18歳の時です。父も祖父も農業をしていて、親に勧められて進学した農業高校を卒業してからずっと農業をしています。
はじめは、親が作っていた米やミカンなどを作っていたのですが、奥さんの妹がイチゴの生産をしていたのがきっかけで、25年前にイチゴの生産を始めることになりました。
イチゴ生産を始めて、どのように栽培技術を学びましたか?
周りのイチゴ農家に教えてもらいました。イチゴの栽培をしていた義妹に教えてもらったり、農協さんに見てもらったりしながら学びました。
「農業は一人ではできないな」とつくづく思います。何度も失敗しましたが、そのたびにみんなに助けてもらいました。協力し合ったからこそ、農業を続けてこられたんだと思います。
60年間農業を続けられた秘訣は何ですか?
自分自身、農業をするのが当たり前というか。そんな中で続けてこられたのは、楽しいからっていうのがありますね。お客さんから直接「おいしい」と言ってもらえたり、「お前のとこのイチゴ食べたらほかのん食べられへんわ」と言われたりすると、うれしくてもっと頑張ろうという気持ちにもなります。農業には定年退職の概念がないので、死ぬまで続けたいと思っています。
収穫する喜びがあるから頑張れる
イチゴ生産の魅力は何ですか?
経営という側面からいくと、価格が安定していることですね。米とかミカンとか色々作ってきましたが、やっぱりイチゴは価格が安定しているし、収益性が高いですね。
あとは、たいていの人がイチゴが好きで「おいしいね」と言われるとやっぱりうれしいです。しんどいことももちろんありますけど、収穫するときには「頑張ってよかった」「今年もええのんができた」とうれしい気持ちになります。
イチゴ生産の難しいところはどこですか?
苗づくりです。苗づくりで何度も失敗しました。そのたびに周りの農家さんに助けてもらいました。
苗づくりに関しては、8月をどう乗り越えるのかが大事です。暑くて苗が弱ってしまうと、病気になってしまうんです。
互いに支え合い、農業する環境がある
紀の川市は農業をする方にとってどんなところだと思いますか?
気候が良くて、農業はしやすいです。農業が盛んで、農業をする環境も整っていますし、助け合える仲間がたくさんいるのも心強いです。
農業は一人ではできません。私自身、何度も助けてもらいました。やはりそういった環境があるのは、新たに農業を始めようという方には良いところだと思います。
研修生にはどのようなことを教えたいですか?
若い子は宝だからね、自分が教えられることは教えて独立に向けて全面的に協力しますよ。親がイチゴ農家でも、子どもは受け継がないことが多くて年々イチゴ農家の数が減っていっているのは寂しいんです。
そんな中で、若い子が来てくれたら、栽培について教えるのはもちろん、知り合いの農家さんを紹介したりハウス探したり何でも協力したいですね。
※2021年6月現在の情報です
実習先農家インタビュー7
イチゴ生産農家 奥 佳樹さん(40代)
地域に貢献できる若者を育てて一緒に成長していきたい
紹介
栽培面積:36a
出身地:紀の川市
就農時の年齢:26歳
祖父の代から農業を営む土地で親元就農
就農されたきっかけを教えてください。
祖父の代からイチゴを栽培しており、私は長男なので疑問をいただくこともなく父から引き継ぐ形で就農しました。両親は現在も農作業を手伝ってくれていますが、17年前から私がメインで経営をしています。
イチゴの栽培技術はどこで身に着けたのですか?
基本的には父と一緒に作業をしながら身に着けましたが、経営を引き継ぐ前に外部研修にも参加しました。外部研修は、大塚化学(株)が実施している研修に参加し、そこでは高設養液栽培の技術を学びました。当時は土耕栽培をメインで行っていましたが、高齢の両親にとってかがんで作業するのは負担が大きいため、将来的に高設栽培ができたらいいなと思い、大塚化学(株)で高設養液栽培の研修を受けました。
効率を重視し連棟ハウスを導入、若い人に憧れる仕事をしたい
奥様が就農されてからこだわっていることや変えたことはありますか?
私が就農したときは一般的なパイプハウスでしたが、作業効率を高めるために連棟ハウスにしました。連棟ハウスはハウス内部がつながっているので、農作業に使用する機械を外に出す手間がなく、作業効率が上がります。私はある程度まとまった土地が近くにあったので連棟ハウスという選択をすることができました。
新しく農業を始める人が希望の持てそうな仕事になるようにしたいなと思っているので、若い人に憧れられる仕事をしたいと思っています。効率化やシステムの導入などは積極的に行っています。
イチゴは収益を出しやすい品目、収益を出せるからこそ新しいことができる
イチゴ栽培の良い点は何ですか?
ほかの品目に比べて収益性が高いことだと思います。収益があがるとそのお金を使って新しいことをはじめることができます。
私がパイプハウスから連投ハウスに作り直すときには投資をしていますが、収益があったからこそできた選択だと思います。
イチゴ栽培をするうえで大変なことは何ですか?
育苗(苗の管理)が最も気を使います。イチゴには病気に弱い品種もあるので、病気の発生を引き起こす雨に当たらないように育苗専用ハウスを建設しました。また寒い時期には加温機を稼働させるなど、季節に応じた栽培管理を行っています。
紀の川市で農業をやることのメリットはどんなことがありますか。
紀の川市はイチゴの産地なので販売網が豊富にあります。JA 出荷、個人販売、生産者で組織された販売グループでまとめて出荷する方法など、販売方法は多種多様です。これだけ販売の選択肢があり、自分の経営規模や状況にあった販売方法を選択できるというのは、イチゴ産地ならではの他の地域にはない強みです。
地域を担う若い人を育てていきたい、自分も学び成長していきたい
紀の川アグリカレッジの話を聞いたときにどう思いましたか?
はじめて話を聞いたとき、良い研修制度だと思いました。この研修であれば、これから新しく農業を学ぶ人は、環境制御システムなどの最新農業も学ぶことができます。
私たちはこれまでのやり方をよく知っていますが、最新式のシステムや栽培方法はわからない部分もあります。ゼロから農業を学ぶのであれば最新の知識も研修を通じて吸収してもらえれば、地域を担う農業人材として活躍できると思います。そして新しく農業を学ぶ人とこれまでの経験がある人、お互いが良い影響を与えられるようになると産地がもっと良くなると思います。
そして、イチゴ農家に限らず紀の川市の農業者の平均年齢はどんどん上がっています。そのため、地域に定住してくれる後継者を育てていくことは地域として必要なことなので、私も就農者の育成に参加することを決めました。
栽培規模が大きいのが強み、地元出身だからできるサポートも積極的に行います
就農を検討している方に一言お願いします!
私の圃場は栽培面積が広いです。そのため、実習にきていただくとたくさんの苗を見て、実際に管理することができるので、その分多くの経験を積むことができます。例えば、一つの病気にしても「この状態だったら廃棄しなければいけないけど、この程度ならまだ様子を見て大丈夫」など、たくさんのイチゴを見ることで、細かい違いなどもしっかり学べると思います。
私の知っている知識や技術は、教えられる限り研修生に教えてあげたいと思います。
また、新規就農されるときはハウスの確保や資金面で大変なこともありますが、その点は地元をよく知る私たちが間に入り助けることもできます。なので安心して紀の川アグリカレッジに参加してください!研修に来ていただけることを楽しみに待っています!
※2022年8月現在の情報です
実習先農家インタビュー8
イチゴ生産農家 岩鶴 和哉さん(40代)
農家とは経営者 経営の数字がわかることは大切
紹介
栽培面積:40a
出身地:紀の川市
就農時の年齢:32歳
就農されたきっかけを教えてください。
農業は父の代から紀の川市でやっていました。私は当時車関係の仕事をしていたのですが、両親が体調を崩したのをきっかけに私がメインで農業をやるようになりました。
仲買業者に直接出荷
販路はどのように確保しているのでしょうか?
私は JAに出さずに仲買業者に直接販売をしています。
農家は経営者。自分の責任で経営していく意思が大切。
職業として農業はどんな良いことがありますか?
農家は経営者なのである程度自分の時間を自由に使うことができます。
その分、自分で経営の数字が読めるようになる必要がありますけどね。
私は自分がメインで経営をするようになってから、どうやったら収益を上げられるのかを考えるようになり経営の勉強をするようになりました。
また、イチゴ以外にも自分の畑が少しあれば、野菜を育てて自分でつくった野菜を食べて生活することができます。私の家族は私の畑で作った野菜を毎日食べていますが、そのおかげか風邪をひくことなく元気に過ごしています。自分で育てた野菜を自分で食べる生活はいいものですよ。
これまでの自分の経験を伝えたい
就農希望者にひとことお願いします!
私は就農してから自分で経営をしていかなくてはいけないと思うようになり、考えること、勉強することもすごく増えました。
これからイチゴを栽培したいという人には、自分の知っていることやこれまで自分が考えてきたことを教えてあげたいです。
農業はしっかりと働けば、その分結果として表れます。一緒に頑張りましょう。
※2022年8月現在の情報です
実習先農家インタビュー9
イチゴ生産農家 増田 文男さん(70代)
これまでの経験を研修生に託したい
紹介
栽培面積:5a
出身地:紀の川市
就農時の年齢:57歳
昔から手伝っていた農業を退職きっかけで専業に
就農のきっかけを教えてください。
両親がもともと紀の川市でイチゴ栽培をしていました。私は当時官公庁で働いていましたが、実家に住んでいたのでイチゴ栽培は仕事の傍ら手伝っていました。官公庁を退職するタイミングで両親から引き継ぎ、農業専業になりました。
イチゴの生産は5a と小さめですが、イチゴ以外にも柑橘類(はっさく、せとか、はるみ)、桃、水稲も栽培しています。
栽培技術は試験場や生産者のコミュニティから学ぶ
栽培技術はどのようにまなびましたか?
県の農業試験場やJAの営農指導課、那賀いちご生産組合連合会が開催する勉強会に参加しています。
紀の川市はイチゴの産地なので生産者グループがいくつもあります。生産者が集まり「今年はどんな病気が出ている」とか「こうしたらうまくいった」などの情報交換する機会も多々あり、そのような会にも参加しています。
販売はどうしているのでしょうか
私は全量 JA に出荷しています。JA に出荷すれば販売をお任せできるので、販路開拓などをする必要がなく栽培に集中することができます。
イチゴは収穫期間が長く収益を出しやすい
ほかの品目に比べてイチゴ生産の良いことはどんなことがありますか?
イチゴは収穫期間が長いことが経営面の利点です。収穫期間が長いと収益が入る期間がその分長くなるので生活設計を立てやすくなります。またイチゴはジャムなどに加工することもできるので、それも魅力の一つだと思います。
イチゴ栽培の難しさはどんなことでしょうか。
「イチゴ栽培は苗づくりが 8 割」と言われています。人気品種でも病気にかかりやすい品種があるので、毎年苗を育てる時期はすごく気を使っています。苗管理は大変な作業なのですが、苗が育たないとイチゴを収穫することはできないので大切な仕事です。
生産者とのつながり、まりひめを生産できること、他の品目の生産もできることが強み
紀の川市でイチゴを栽培するメリットはありますか?
紀の川市でのメリットは、たくさんあります。
生産面では、イチゴ部会という生産者どうしのつながりがあり、最新の栽培情報等について情報交換をすることができます。
販売面では、紀の川市はイチゴの産地ということもあり、販売先に困ることはありません。
JA に出荷すればその先はしっかりと販売してくれるのも紀の川市ならではの魅力だと思います。
また、紀の川市にはまりひめ(和歌山県内でのみ栽培可能な品種)という品種があります。
まりひめは他の品種のイチゴと比べて1パックあたりの取引価格が高く、その価格は年々さらに上昇しています。
イチゴの中でも特に単価の高いまりひめを栽培できることは大きなメリットだと思います。
紀の川市は栽培環境に恵まれていますので、イチゴはもちろんおいしいものが作れますし、イチゴの作業がない時期には落葉果樹や柑橘類などほかの品目を育てることもできます。
おいしい果物を自分で育てて自分の舌で味わえるのは格別です。
紀の川市はどんな街ですか?
平地も山間部もあり景色が良い。大阪にもすぐ出られて交通の便もよいです。
人あたりもよく、新規就農者への理解が深いので、新しく農業を始める方におすすめです。
これまでの知識と経験を研修生に託したい
研修生にひとことお願いします!
手を抜いたらそれは成果で現れます。勉強熱心で探求心のある方に来てもらいたいです。
これまでの何十年と経験してきたことを研修生に託したいと思います。
※2022年8月現在の情報です